「海外取引所で暗号資産(仮想通貨)取引をすれば、暗号資産(仮想通貨)取引で得た所得の税金を申告・納税しなくても、税金はばれないのではないか?」と思っている投資家も多いかと思います。
税金負担が重い暗号資産(仮想通貨)ですから、海外取引所で税金の抜け道を探す方も少なくありません。今回は、海外取引所なら暗号資産(仮想通貨)の税金はばれないのか?丁寧に解説します。
海外取引所の暗号資産(仮想通貨)の納税義務
国税庁のウェブサイトを見てみると
次のいずれかに該当する個人のうち「非永住者」以外の者
- 日本国内に住所を有する者
- 日本国内に現在まで引き続き1年以上居所を有する者
は、国内および国外において生じたすべての所得が課税所得の範囲となる
「非永住者」とは
居住者のうち、次のいずれにも該当する者
- 日本国籍を有していない者
- 過去10年以内において、日本国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である者
出典:国税庁
かなり、まわりくどく書いてありますが
簡単に言えば
- 日本に住んでいる日本人
- 日本に住んでいて、過去10年のうち5年以上日本に住んでいる外国人
→ 日本で稼いだお金でも、海外で稼いだお金でも、日本に納税義務が発生する
ということです。
逆に言えば
- 日本に住んでいない方
- 日本に住んでいて、過去10年のうち日本に住んでいる期間が5年以下の外国人
→ 日本で稼いだお金は、日本に納税義務が発生する
→ 海外で稼いだお金は、日本に納税義務が発生しない
のです。
暗号資産(仮想通貨)取引においても
日本に住んでいる日本人の場合
- 国内取引所で稼いだお金であっても
- 海外取引所で稼いだお金であっても
→ 日本に納税義務が発生する
ということなのです。
当然、海外取引所で暗号資産(仮想通貨)取引をして得た利益は、納税しなければ「脱税」となってしまいます。
脱税の罰則
刑罰は、10年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金、またはこれらを併科となります。
ただし、事情によって、罰金の額は、脱税額を限度として増額される場合があります。
海外取引所なら暗号資産(仮想通貨)の税金はばれないの?
「納税義務があったとしても。申告しなければ、黙っていれば、税務署にバレずに支払わなくて済むんじゃないの?」
そうは簡単ではありません。
1.租税条約でバレる
日本は、海外の国々と「租税条約」を締結しています。
租税条約とは
二重課税の排除と脱税の防止などを目的として主権国家の間で締結される成文による国家間の合意のこと
を言います。
脱税を防ぐために、国同士で交わした条約ですから、脱税を防ぐことを目的としているのです。
脱税を防ぐ租税条約の主要な方法として「締結国同士の情報交換」があります。
締結国同士の情報交換
1.自発的情報交換
自国の納税者に対する調査などの際に入手した情報で、外国税務当局にとって有益と思われる情報を自発的に提供する。
2.要請に基づく情報交換
個々の納税者に対する調査において、国内で入手できる情報だけでは十分ではない場合に、必要な情報の収集や提供を外国税務当局に依頼する。
3.自動的情報交換
法定調書から把握した非居住者等への支払等(利子、配当、不動産賃貸料など)に関する情報を、支払国の税務当局から受領国の税務当局へ一括して送付する。
つまり、
海外取引所を運営する外国企業の本社がある国が日本と租税条約を締結していたら、国税庁も、手続きを踏めばその取引情報が入手できる = 海外取引所で利益が出ているのに申告していなければバレる
ということを意味しているのです。
日本が租税条約を締結している国

日本人投資家に人気のBybit(バイビット)を例にとると、本社はドバイにあり、日本とドバイは「日・アラブ首長国連邦租税条約」を締結しているのです。
2.日本円にしたときに、日本に送金したときにバレる
今現在、日本では暗号資産(仮想通貨)のまま買い物ができるようには、なっていません。
暗号資産(仮想通貨)を持ち続けていても、実際にそれを使うためには
- 日本の銀行口座に送金する
- 国内の取引所に送金する
必要性が出てきます。
銀行も、国内取引所も、国税庁・財務省の管轄ですから、取引はすべて報告する義務があり、海外取引所に暗号資産(仮想通貨)を置いているだけでは、運よくバレなくても、それをどこかに送金して使おうとしたときに資産を持っていることがバレてしまう可能性があるのです。
結論
「海外取引所なら暗号資産(仮想通貨)の税金はばれないの?」の質問の回答としては
「租税条約」や「国内銀行・国内取引所」からの情報で、バレる可能性が高い
と言えます。当然、抜け漏れも出てくるので、100%というわけではありませんが、海外取引所で高額な所得が発生してしまったら、バレてしまうと考えておいた方が良いです。
結局、海外取引所に資産を置いているだけで、バレずに済んだとしても、資産が増えれば増えるほどマークがきつくなってきますし、海外に置いているだけでは何もできないため、資産の意味がなくなってしまうからです。
海外取引所で暗号資産(仮想通貨)取引をして、所得が発生した場合も、速やかに日本で確定申告をして、納税する必要があるのです。